くらびぼー

修理屋家業の傍ら書き溜めた、クラッシクカメラの備忘録

HCB展

アンリ・カルティエ・ブレッソン展に行ってきた。

HCB-E

嫁さんと1才2ヶ月の赤ん坊連れだったので、お茶やらおっぱいやらおしめやらで、
出たり入ったりだったけれど、子供も何故か妙に興奮して、
彼らの言葉で何かに語りかけていたように思う。
(会場スタッフの方々、変なガキに優しくしてくださって、本当に有り難うございました。)


展示されている作品には全て黒枠が入っていて、それどころか、
フィルム・パーフィレーションまで確認できる画もある。
(おいおいおっさん、フィルムの装填気をつけるか、
 スプロケットあたりの整備をしっかりしろよ・・・・と言う突っ込みは置くとして)
つまり、これらの写真は皆全くのノートリミングで画になっていると言うことだ。

すごい!!!!

”構成の天才”と言う称号が雑誌に載っていたが、
もっと詳しく言うと、”幾何学の天才にして構成の錬金術師”と呼ぶのが、
正しいと思う。
だって、ライカで撮ってるんだよ。
LでもMでもRFライカはファインダーの中心部でしか焦点を合わせられない。
従って、ピント合わせとフレーミングとは必ず2アクションになるはずなのに、
過不足無く瞬時に完璧に収まっている。
図録の記載によれば、1978年来日の際もM4を持ち込んでいるらしい・・・・・。
その時代にはFどころかF2がとっくの昔に出ていた。
”最新の機材が最良の機材”と言っている現在のカメラマンは、
最新の機材でしか最良の結果を出す腕がないカメラマンなのだと思える。
勿論、ライカのL・Mのみならず、NikonFでもEOSでも、デジでも、
撮れた写真が優れていれば機材は関係ないし、
本当に優れたカメラマンが、極限の状況で機械の補助を借りて、
最高の作品を勝ち取ることもあるのだろうが、
なまなかな輩が”決定的瞬間”に直面したとき、
機材への甘えは”画”に現れると思う。


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  1. 2007/07/29(日) 00:51:36|
  2. Exhibition
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LS-RFカメラの解説 その3

前回は画像無しだったので、今回はてんこ盛り。

S2

systemS3up

systemS2up

systemuS2botm

前回、巻き上げ・レリース系がカメラにとって重要部分だという解説をしたので、
それをもう少ししつこく、画像を使って論証する。
上二つは、前回お題にしたKonicaSⅢ、下二つは、その先代にあたるSⅡ。
SⅢは1963年12月発売で20600円、SⅡは1961年7月発売で24800円。
もしも、2機種をお持ちの方は、巻き上げ感触を比べてみられるとよい。
当時の大卒初任給を1万円、現在のそれを20万円と大雑把に仮定すると、
前者が412000円(??!!)、後者が496000円(・・・・・)となり、
シャッターが同じで、レンズも殆ど同スペックなのでラインのコストダウンを考慮しても、
現在での貨幣価値で1個体当たり約5万円もの倹約が、
シャージ・レリース系で行われていることになる。
笑い話でなくて、本当にこの部分は重要で、
RFが付いてて凝ったレンズを載せ、とにかくでっち上げたK社の”P”とか
O社の”L”は、ゴミともくずとも呼びたいほど、この部分の作りが酷い。
改めて言うが、SⅢは断じて決して出来の悪いカメラではない、
しかし、このあたりから、日本のカメラの作り方が少しづづ品質よりも、
コストダウン重視という彷徨に変わっていったのは間違いない。

以下次号。





  1. 2007/07/28(土) 23:46:24|
  2. LS-RF
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LS-RFカメラの解説 その3

前回、”フィルムメーカーの作るカメラは良く写る”という通説を紹介したが、
”そりゃおかしくないかい?”と言う疑問が当然起きるだろう。
だって、フィルム屋さんの専門はあくまでフィルムであって、
写真の写りを作用するレンズではない。だから、”レンズメーカーの作るカメラは
写りがよい”と言うのならば理解がたやすい訳だけど、”レンズメーカーの作るカメラは、
トホホカメラが多い。”と言うのも、業界内の通説としてよく言われるのね。
舶来モノだと、シュタインハイルのCASCAやローランド、国産だとやはりZunow・・・。
なまじ良く写るから悩ましい罪作りなカメラだ。
特に、Zunowはシャッターを切るたびに走行部がダンパーのない終着点を打ち付け、
まるで、羽をむしりながら機を織るおつうさんの様なカメラなので(決して中を見ては
なりませぬ)、事情を知ると、よほどのSかMでない限り、撮る気にはなれない・・・・。

閑話休題。

つまり何を言いたいかというと、”写り”を左右するのはレンズだけれど、
”撮る”に至る過程でもカメラの性能は大きく変わると言うこと。
”至る過程”の中のカメラの機能とは、RF、ヘリコイド、シャッター、
チャージ・レリース機能、を意味する。
レチナの稿で挙げたように、測距精度が不十分だと、
折角のレンズも持ち味を発揮できないし、ヘリコイド精度が不十分だと、
特定の距離しか上手く写らない場合がある。また、ベス単のような不安定な
シャッターで決定的瞬間を写すのはかなり難しいと思う。
そして、見逃してはならないのが、
フィルムの給装やシャッターのチャージレリース機構。これがしっかりしていないと、
肝心なときに、巻き上がらなかったり切れなかったりする。
カメラ設計の立場で考えると判るだろうが、レンズはレンズ屋が設計する、
レンズシャッターは専門メーカーから買い付ける、
ヘリコイドは殆ど予算の制約で仕様が決まってしまうので、カメラという機械を設計
する際、機械屋が設計の腕を振るうのは、巻き上げレバーの力でシャッターを
チャージし、レリースボタンで開放するためのパワートレイン部分なのだ。


  1. 2007/07/24(火) 01:04:11|
  2. LS-RF
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今回はもたもた引っ張らず、前回のカメラをいきなり紹介する。


konicaSⅢ

今は亡き小西六写真工業が1963年12月に発売したKonicaSⅢ。
その時点で、小西六はAE機能の付いたAutoSシリーズを発売してるのだが、
連動露出計カメラに対する要望に応えるため、先代SⅡを手直しし、
20600円で出した。
この業界で、”フィルムメーカーの作るカメラは良く写る”というのは、
半ば常識化している。(レチナしかり、Agfaオプティマしかり。)
そして、ご多分に漏れずコニカのSやAutoSも良いレンズがついていて、
とても良く写る。以前紹介したOlympusTrip35同様、大量に売れたため、
現在では不当に安価に評価されているが、妙に趣味製の高いカメラよりも、
遙かに高い機能を備えている。
ただ、このカメラは、ファインダー内に追伸式セレン露出計を備えるため、
絞り操作は完全アナログでクリックストップがないため少々使いづらい。
画像の機体は、個人的に貼り革を交換して見栄えを変えたうえ、
レンズ鏡胴を改造して絞りリングにクリックストップを与えた。

と言うわけで、このカメラは良いレンズを備えた優秀なカメラなのだけれど、
もう少し踏み込んで検証し、特に他のカメラと比較すると、
更にカメラが深く見えてくる。


以下次号
  1. 2007/07/20(金) 00:48:32|
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LS-RF解説 その1

ふと気がつくと、前回更新から1週間以上経っている・・・・。
まあそんなこともあるさ・・・・・。

と、誤魔化せるように、濃い内容の更新しようと、ずるずる時間だけが経ってしまう・・・。
で、気を取り直して・・・・。

”それは、写真に写らないから・・・・”というのは、修理屋の常套句で、
実際ファインダーの隅の影とか上カバーのあたり傷とか、
”持ち主の心象”として判らなくもないけれど、
カメラの機能には影響しないので”どうでもいいじゃん”という、
指摘が結構あったりする。
では、写真の写りに最も大きな影響を及ぼすのが何かというと、
やはりレンズなのね。

と言うわけで、今回はヤフオフ市場で500円扱いだけど、
レンズがいいのですごく良く写るカメラをネタにする。
まず、撮った写真はこれ。

asakusa-tanuki

まいど、画像データではなかなか伝わらないけれど、
原画はかなりシャープに写っている。
そこで、このカメラの分解画像は、これ。

camera 1
例によってこの画像では、、機種を特定できる方は限られるだろう。
これは、LS-RF、距離計付きレンズシャッターカメラの構成を表している。
即ち、画像左上から時計回りに、距離計、シャッター、レンズ、ヘリコイド、
巻き上げ機構。前回レチナで解説したように、
これらが上手く機能して、綺麗な写真が撮れる。


以下、次回。


  1. 2007/07/19(木) 00:50:28|
  2. LS-RF
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カメラの資質 その4

レチナでこんなに引っ張られるとは思っていなかったけど、
ここまで来たらだめ押し。レチナⅡ・Ⅲ型以降の欠点を解説する。

そもそもイーストマン・コダック社がパトローネ入りフィルムを売るために開発した、
小型でシンプルなスプリングカメラだったレチナは、基本骨格をそのままに、
セルフコッキングに発展した段階で、致命的なアキレス腱を抱え込むことになる。
つまり、巻き上げ軸はフィルムの巻き取りスプールと同軸で、
フィルム平面と平行なのだが、シャッターチャージの回転軸は、
フィルム面に垂直でしかも巻き上げスプールやスプロケットドラムとは離れた位置にあり、
且つ、前蓋開閉のためには伸縮しなければならない。
(言葉にするとすごくめんどくさい・・・・・。)
普通離れたところに力を伝えるにはギアを何個かつなぐのだが、
どうせ縦のモノを横にしなければならないので、
ドイツコダックの設計はアングルの2面をギアにして強引につないでしまった。
前回上部構造の右端のギアに絡んでいる鋸状のモノがそれ。
これが、始終壊れて、修理屋の手元には以下の画像のようになる。


junk giar
屍累々・・・・・・。
これを欠陥設計というのは簡単だが、そうではない。
これは巻き上げとシャッターとの間のパワートレインの間の、
ストレスを表現しているわけで、そう言う状態でシャッターはは正常に作動はせず、
整備を要求していると言える。
従って、このような症状のカメラは、
ただこの部品を交換してもまた同じことが起こる。
逆に、シャッターを含め、そこに至るパワートレインを全て清掃・調整すると、
見違えるように快調に動き出す。

レチナはこのように真にカメラとしての資質に恵まれたカメラなので、
”カメラの資質”と言うタイトルの筆頭に挙げた。
今後もこのように少しずれた視線で、カメラの力量を解説してゆきたい。


因みに、レチナをいじっていて、
個人的に最も楽しいのは蓋の開閉のクリック感だったりする。

お持ちの方は、お楽しみあれ。
  1. 2007/07/08(日) 00:45:41|
  2. LS-RF
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