これまで再三このカメラについては記事を書いてきたけれど相変わらず正しい理解が進んでいないと思えることがあったので、今回は本機についての基本事項を踏まえ、クラシックカメラとの付き合い方を解説しようと思います。

先ず、これは結構重要な事実なのですが、本機は東ドイツのカメラです。当時ドイツ連邦は資本主義陣営の西ドイツと共産主義陣営の東ドイツに分かれていて、市場経済の競争にさらされていない共産主義国の工業製品は、特に民生品に於いて西側製品に対して様々な部分で性能的に劣っていました。(何故そうなるのかは、いろいろ調べてみてください。カメラの歴史同様、面白いことがわかります。)しかし、幸いなことに、腐ってもドイツ製。フェド・ゾルキーといったロシアンカメラと比べればはるかに安定した性能を発揮します。余談ですが、当店は特別な事情がない限り、ロシアンカメラは取り扱いません(レンズは別です)。それは、西側製品と比較して、あまりにも品質が劣り、安定した作動を保証することができないからです。仮に、やむを得ない理由で修理する場合は、ライカの同様内容処理より遥かに高額な費用が掛かります。
周知のとおり東欧のカメラは西側諸国のカメラと比較してはるかに安価です。それ故初期投資が小さく、敷居が低いので初心者に人気があるようですが、私にはあまり良い傾向だとは思えません。フィルムカメラの扱いに不慣れな初心者は、基本的な操作や力加減を知らないため、不調が起こっても早い段階で気づくことができず、結果的に症状を重症化させ、取り返しのつかない状態に陥ってしまうことが多いようです。特にIT機器が普及し、”リセット”が”デフォルト”になってしまうと、より一層この傾向が強くなり,
私はこれまで、そういった扱いで不調を起こしたカメラを何台も見てきました。ライカ・コンタックス、ハッセルブラッド、ローライフレックスといった当時の舶来トップブランドとまではいかないまでも、初心者は少なくとも日本製のカメラから始めるのが無難でしょう。
さらにさらに余談になります、しつこいほど繰り返していますが、カメラを長く使うためには、購入した店と長く付き合ってください。匿名で書かれているネット情報は全て無責任と考えて間違いありません。また、店のブログとして書かれている記事も、全く根拠のない操作方法を、正しい操作方法として解説していました。(最近その店はなくなったけどね・・・。)居ながらにして手に入るネット情報は、圧倒的に便利ですが、伝え手の立場からいうと、持っている情報の全ては絶対に明かしません。対面接客していると、つい口を滑らせてしまうこと、ネットをのぞき見してすぐに転用しようとする同業者に教えたくないことは、沢山あるのです。こうやって書くと、電話問い合わせをする人もいますが、在庫確認以外はあまり有効な方法と言えないでしょう。相手の時間を奪っていることを理解すべきです。逆に論旨の整ったメール問い合わせを読むと、気合の入った返事を書きたくて、電話で話すよりよっぽど時間を食ってしまうのは、悪い癖ですね。
あまりにも長くなったので、この項はこの辺で・・・・。
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- 2017/05/24(水) 20:32:53|
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